これからどこに住もう

 

住む場所は、その人のライフスタイルや考え方、生き方

に影響を与える。だから皆、都会に住むのか

田園の広がるのどかな田舎にすむのか、それとも海外に・・

とあれこれ吟味している。

 

これまで田舎にあまり魅力を感じなかったが、

ひっそりとした自然あふれる山中に身を置くのもいいかも、

と思うようになった。きっかけとなったのが

陶芸家たちとの会話だ。日ごろ陶芸家と接する機会が多いため、

彼らがどんなところに住んでいるのか、どんな楽しみを

もって生活しているのかを作品概要と合わせて教えて

もらうことがよくある。

 

彼らが口ぐちに言うのは、自然から受け取る

インスピレーションが作品制作にとって重要であるということだ。

土をブレンドして素地を作り上げる、乾燥させてから窯で焼き上げる…

プロセスの随所に、周囲の自然から受ける影響が現れる。

その現れ方は、海に面した場所で制作する人は上薬に海を思わせるコバルトブルーの美

しい色を使っていたり、星空がきれいに見える場所に住んでいる人は上薬と

素地のコントラストで宇宙の様を表現していたりとさまざまだ。

もちろん彼らが人知れぬ自然の中に身を置くのは、焼成の際に出てくる

煙や窯の設置場所の問題もあるけれど。

 

なにもかも管理された町の中に住んでいると、自然の持つ不思議な部分や

恐ろしさを忘れてしまう。時たま台風や地震で被害があると、自分たちで

把握しきれない側面があったのだ驚く人も多いのではないだろうか?

もしくは、自分の持っている野性的な一面も忘れてしまっている

かもしれない。人の手で管理されていない自然の中に身を

おいていると、予期しないことが起きて不便を感じることが出てくると

想像できる。しかし、だからこそ無秩序な自然と繋がり

数多くのアイデアを引き出すことができるとも言えるのではないか?

 

私にとってさまざまな可能性を享受しながら生活できるのは

豊かなことに思えた。